窓口で

2002年9月25日
なんかを吊り下げるためのものと思われる、S字でプラスチック製のものに、

荷物が入ったビニール袋を、奇妙な風に引っ掛け、
役場の傘立ての鍵も巻きつけた、
あやしい白髪ロン毛の老人。

窓口付近をうろつく。

うううう・・・・来る?来るぅ?

はうぅっっ!!目が合っちまった!!
わしかい?犠牲者はっっ!!!

「白雪姫の話なんだけどね、NHKでやってて、ちょっと面白いかなぁ、って思って」

んんん?

「テレビでは、森で出会ったことになってたけど、ほんとは最初、小人さんたちは留守にしてたんや」
・・・・・は・・い・・。

「白雪姫は道に迷って、おなかもすいたから、小人さんの留守中、勝手におうちに入ったんや・・・・ちょっと、違っとって・・・・・おかしいなぁって・・・」

ぼそぼそ話す、じじい。
かなり知能は低そうだ。でも危害はなさそう・・・。

「それで、小人さんたちは、お前はだれだ、って尋ねるんだけど・・・当然やね、
留守中に、知らない人がうちに入っていたんだから・・・・うん、当然やわ」

ああああああ、この取り止めのない語りのオチは、どうつけたらいいの?

上司が助け舟。
この人は、前に狂ったばあさんが来たときも、ちゃんとフォローしてくれた、いい人だ。

「はあ、紙芝居のお話やね」

「そうそう、紙芝居」

ああ、なんか会話できてる・・・。
さすが、児童担当。

なんかとりとめもなく、「お話が少し違っとって・・・白雪姫は・・・」と
その後もつぶやいていたが、
わたしは心の中で上司に手を合わせながら、作業に戻らせてもらった。
上司は、聞くともなくただ、じじいに相対して、積極的に相づちを打つでもなく、
ぼんやりそこに立っていた。

やがて、じじいは静かに去った。

上司に駆け寄るうずら。感動で半泣きだ。

「あの人は・・・以前、投書箱に『いつもすてきなおはなし会、ありがとう。たのしみにしてます』って、入れてくれた人で・・・・てっきり小学生だと思っていたんだけど・・・。毎週、おはなし会には皆勤なんだよね・・・・」

じ、常連なのね・・・。
役所って・・・・・・・・こわい・・・・。

窓口のもう一人のメンバーいわく
「今日は、興奮気味で饒舌でしたね・・・・」

・・・・やさしいおじさんと、かわいいおねえさんが聞いてくれるんだもん、
そりゃ、身が入るわよねぇ・・・・。

こんなんばっかかよ。

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